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これはターミネーター4なのか!?

今さらながら映画「ノーカントリー」を観ました。
今年の米アカデミー賞受賞作ですね。「暗い」「救いがない」という前評判を聞いていたので、ちょっと腰が引けていたのですが。
やっぱり、気分的には観ないほうが良かったです。でも、作品的には面白かった。

この役でオスカーを獲ったハビエル・バルデム。彼が演じる殺人者がもう怖いのなんの。
情け容赦なく、躊躇なく人を殺していく様はまるでターミネイター。
狙った標的は絶対に逃さない人間離れした殺人能力、どこまでも追っかけてくるよ、怖いよ~。
銃弾を受けても自分で外科手術して治せるんですか!車が激突しても死なないんすか!
そうか、この映画はターミネーター4だったのかも!

しかし、アクション映画として観られるかというと、やっぱりそんなことはなく、暴力に支配される現代を考えさせられるシリアスな内容なのでした。

アメリカにおける暴力の連鎖、銃社会の恐ろしさ、モラルを失った人間の危うさ、などなど描かれているテーマは、観終わった後時間が経つほど、心の中に響いてくる。
好きな映画ではないけど、優れた映画だなぁ、と鑑賞三日後の今、改めて思います。

あまり作品紹介でも強調されてないことなんですが、この映画のポイントは舞台が80年ごろだっていうことにあるんじゃないかな。
無謀にも殺人者に立ち向かうのはベトナム戦争の帰還兵、殺人者の真の恐ろしさに気づくのは古き良き保安官。
保安官は、人を殺してみたいから殺した、という最近の事件に時代の変化を感じとる。
この時代にアメリカ社会は決定的に道を誤った。
と原作者は考えていたのかもしれません。
ウィンドウズ95以前、携帯電話も普及していない。そんな時代に、もうわけ分からないことになっていたわけですね、アメリカは。

で、今日本はそんなアメリカに似た社会になってしまっているんだなぁ、と思うのが、日本の観客にとってまた恐ろしい付加ポイント。
「人を殺してみたいから殺しただと、わけがわからん」
と嘆く保安官の言葉に、最近のニュースを思い出さずにはいられないのでした。

さて、次は何見ようかな。
ちょっとお口直しに「ジュノ」あたりか。
旅行にも復帰して映画館にも通えるようになり、楽しい毎日です。

ノーカントリー | ウーマンエキサイトシネマ

by keikoda2000 | 2008-04-25 00:37 | 映画あれこれ  

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